外壁塗装は、建物の一番外側で盾のように守ってくれる存在です。
さまざまな刺激から建物を守りますが、中でも大きな影響を与えるのがUVなのをご存じでしょうか?
UVとは紫外線のことです。生活の中でも大きな影響を与える光線ですが、UVの見え方など知らないことも意外と多いはずです。
なぜ外壁塗装に紫外線が関係するのか、そしてどのような影響を与えるのかということを知ると、外壁塗装の塗り替えの時期を検討する意味もわかります。なぜなら、UVが原因で外壁塗装が色あせてボロボロになる理由がわかるからです。
紫外線とはなにか
最も大事なことは、紫外線とはどんな存在かを知ることです。
夏になると日焼けの心配をする人も増えますが、この原因が紫外線です。夏だけではなく、日常的に地球に降り注いでいます。太陽光の6%も占める存在で、人間の目には波長の問題で見えません。UVと略されることがありますが、これは紫外線がウルトラバイオレット(Ultraviolet)と表記することに起因しています。
紫外線を分解すると、波長の長いものからA・B・Cと分別できます。このCはオゾン層と酸素分子によって遮られ、危険性は一番高い紫外線ですが地表には到達しません。一方で波長の長いAとBは、オゾン層なども抜けて降り注いできます。Aは0.1%とかなりの量が降り注いでおり、生物にさえも影響を与える光線に対し、Bは全体量のわずか数%にもなりません。
紫外線は地球を暖めてくれる効果など、私たちが生きていくために絶対に必要な存在です。殺菌作用や体の中でビタミンDを生成する効果もあります。しかし、人間の肌が日焼けしたり、皮膚がんや白内障のリスクを高めたりということもリスクとして知られるようになりました。
物質は紫外線を浴びると劣化していきます。プラスチック製品を外に置いておくと、ボロボロになった状態を見たことがあるでしょう。その原因の一つは紫外線です。外壁塗装も例外ではなく、塗膜が分解され色あせていくのです。
外壁塗装と紫外線の関係
紫外線は地球上で常に降り注いでいます。外壁塗装は建物の一番外側にあるため、日々影響を受けているのです。そのため外壁塗装には紫外線の影響が年々表れてきます。その影響の代表的なものを紹介していきましょう。
色あせ
紫外線の影響で非常にわかりやすいのが色あせです。塗膜の表面が壊れ、内部の色素に影響を与えます。これが色あせの正体で、どんどん発色が変化していくのです。
影響を受けやすい色は透明度の高い色で、紫外線による色あせが進みやすいことがわかっています。
色あせの原因をもう少し細かく見ていきましょう。
外壁塗装には、色を決める顔料が含まれています。この顔料は分子結合によって成り立っているのは、ほかの物質と変わりません。この結合が破壊の度合が強いほど、紫外線の影響が強いということです。高エネルギーを持つ紫外線は、顔料の分子結合を破壊します。本来の色合いを失わせるだけではなく、二度と元のような状態には戻らないのです。
樹脂としての影響
外壁塗料は樹脂でできています。樹脂は紫外線の影響を受けやすく、外壁塗料本体の性能にも影響を及ぼしてしまうのです。影響は色あせの他に、樹脂が劣化した時に生じるチョーキング現象が見られます。
チョーキング現象は、外壁塗装を手で触った時に白い粉がつくことです。これは樹脂が紫外線によって分解され、表面に内部の顔料が粉状となって現れてきた状態です。チョーキング現象が起こると、色素と構造的な部分に影響が現れてきており、防水効果も失われます。やがて樹脂としての結合構造も破壊され、盾の役割も果たせなくなるのです。
この現象の背景にあるのは、樹脂に添加されている酸化チタンの影響があげられます。酸化チタンはあまり聞きなれない物質かもしれません。TiO2という化学式で書かれる無機化合物のことで、実はダイヤモンドよりも高い屈折率を持つ物質です。これを添加材として使うことで、美しい透明感を持つ淡い色を作り出しています。非常に安定した物質で、白色顔料には欠かせないものとなりました。
ところが、酸化チタンは紫外線を受けると劣化物質ラジカルを生成しまうため、樹脂としての寿命を縮め、色あせの原因にもつながってしまいます。
外壁塗装の塗料には酸化チタンは欠かすことができませんが、ラジカルを生むことが劣化を進める原因にもなるため、ラジカル抑制型と呼ばれる外壁塗料が作られるようになりました。
建物に対する影響
紫外線によって塗膜が破壊されると、ひび割れなど外壁自体の劣化につながります。盾としての役割なくなったことで、構造体に直接影響が出るからです。外壁塗装だけではなく、建物の寿命を縮めることにつながります。建物の構造体も紫外線による影響を受けるため、劣化がどんどん進んでいくからです。
UV耐性の高い塗料のメリット
外壁塗装には、紫外線を防ぐUV耐性を持った塗料が使われるようになりました。外壁塗装の中でも、UV耐性を持った塗料がどのような性能を発揮するか理解しておくと、塗り替え時期にUV耐性のある塗料を選択する意味が見えてきます。
紫外線を反射
紫外線は、外壁塗料の表面から0.1mm程度まで浸透します。ほんのわずかのように思えますが、塗膜として考えれば、かなりの部分まで紫外線が浸透して影響を与えています。
UV耐性を持った外壁塗料は、正面で紫外線を反射します。反射したことによって塗料内部に紫外線が影響するのを防ぐ仕組みです。表面上で紫外線を反射しているため、構造体にも影響を与えません。
耐摩耗性や耐久性も持っている
UV耐性の高い塗料は、高い耐摩耗性や耐久性も持っています。
紫外線が生み出すエネルギーは非常に強力で、これが樹脂としての結合を分解します。UV耐性の持つ塗料は、紫外線が分解するエネルギーよりもっと高い結合エネルギーを持っているのが特徴です。そのため、耐摩耗性や高い耐久性が実現できています。副次的でも大きなメリットを生み出す仕組みです。
耐摩耗性の高い外壁塗料は、建物を守るために高い効果を発揮します。塗り替え時期も伸ばせる耐久性の高さを持ったものが多く、長期的なランニングコストを下げる効果が期待できるのです。
高級感が出やすい
外壁塗料としてUV耐性を持っていると、表面のコーティング効果が高くなります。このコーティング効果が高まると、透明感がありツヤ感を出すことにつながるのです。非常に高級感のある色合いが生まれ、外壁塗装として高いレベルの景観を生み出します。
寿命が延びやすい
紫外線に対する耐性が高まることが、結果として外壁塗装の寿命を延ばすことにつながります。外壁塗装を劣化させる非常に強い原因であることから、耐久性が高まることでライフサイクルが伸びるからです。 外壁塗装が一番外部にあることからも、紫外線の影響から逃れられません。だからこそをUV耐性の高さが重要となるのです。
まとめ
UV耐性を持っている塗料は、一見するとコストが上がるように思えます。たしかに一般的な塗料よりは高価ですが、塗り替えまでのライフサイクルを考えてみると、塗料としての寿命が延びるため長期的コストは格段に下がるのです。
紫外線の影響は非常に強力で、さまざまなものに影響を与えます。これは避けられない事実です。長い期間建物を守るという意味でも、紫外線対策は必須の条件となりました。しかし、現実的に日々降り注ぐ紫外線に対応するのは難しい現実があります。外壁塗料にUV耐性を持たせた塗料を使うのは選択としては簡単で効果的なのです。
長期的に建物を守り暮らせる空間を作るためにも、UV耐性の高い外壁塗装を検討してみてはいかがでしょうか。